工場勤務から事務・営業・ITに転職した人のリアルな年収変化まとめ

転職

「転職したら年収が下がるのでは」——これは工場勤務者が転職を躊躇する最大の理由のひとつです。私もそうでした。長年勤めた工場の給与はそれほど高くなくても、「また一から収入を築き直すのか」という不安が行動を止めてしまう。工場から事務・営業・IT職に転職した人の年収変化を、リアルな数字でまとめます。転職前後でお金がどう変わるのか、確認してみてください。

まず知っておきたい「工場勤務の年収の実態」

厚生労働省の賃金構造基本統計調査(令和5年)によると、製造業で働く人(フルタイムの労働者)の所定内給与の平均は月30万6,000円です(平均43.7歳・勤続14.8年)※1。所定内給与は残業代や深夜手当、交替手当などを除いた毎月の給与で、実際の年収にはここに残業代やボーナスが加わります。年代別に見ると、25〜29歳で月23万9,400円、30〜34歳で月26万9,400円、35〜39歳で月30万5,300円です※1。

特徴的なのは、勤続年数が増えても給与の上昇幅が小さい点です。賃金構造基本統計調査で年代別に比べても、製造業の所定内給与は25〜29歳の月23万9,400円に対して、35〜39歳は月30万5,300円で、差は月6万6,000円ほどです※1。「このままでいいのか」と感じる背景には、この給与の伸び悩みがあります。

そして転職を考えるときは、まず「今の年収」をはっきりさせてから比べます。転職後に年収が多少下がっても、長期的な伸びが大きければトータルで得になるケースもあります。

実際、厚生労働省の雇用動向調査(令和5年)では、転職した人のうち前の職場より賃金が増えた人は37.2%、減った人は32.4%、変わらない人は28.8%でした※2。転職すれば必ず上がる、必ず下がる、というものではありません。

※この記事で挙げる職種別の年収は、おおよその目安です。地域や会社、本人の経験によって大きく変わるので、実際の金額は必ず求人票で確かめてください。

事務職に転職した場合の年収変化

年収は「下がりやすい」——でも生活の質は上がる

事務職(一般事務・経理事務・医療事務など)への転職は、年収が下がるケースが多いです。特に女性が多い職種は給与水準が低めに設定されていることがあり、工場の夜勤手当などを含めた現状年収より減ることがほとんどです。

事務職転職後の年収目安

  • 一般事務:240〜320万円(正社員)
  • 経理事務:280〜380万円
  • 医療事務:230〜300万円
  • 営業事務:280〜360万円

工場で夜勤手当や残業代を含めて稼いでいた人ほど、事務職に移ると年収が下がりやすくなります。手当がなくなるぶん、基本給だけを比べていては見えない差が出るからです。

ただし「下がったけど満足」という声も多いです。夜勤がなくなる・土日休みになる・残業が減る——これらの「生活の質」の向上が年収減少を上回ると感じる人が多くいます。

年収が下がっても満足しやすいのは、夜勤や休日出勤がなくなって、家族と過ごす時間や睡眠がしっかり取れるようになった場合です。反対に、住宅ローンや教育費などで毎月の支出が決まっている人は、下がった分をどう埋めるかを先に考えておかないと、生活が苦しくなります。事務職を考えるなら、今の手取りからいくらまで下がっても暮らせるかを計算してから応募先を選びます。

営業職に転職した場合の年収変化

結果次第で「大きく上振れ」するのが営業の特徴

営業職への転職は、年収変化の振れ幅が最も大きい選択肢です。うまくいけば工場時代の1.5倍以上になることもあり、逆に向いていなければ工場時代より低い状態が続くこともあります。

営業職転職後の年収目安

  • 無形商材(保険・金融など):400〜700万円以上(インセンティブ次第)
  • 有形商材(メーカー・卸売):350〜550万円
  • 法人向け(BtoB):380〜600万円
  • 不動産営業:400〜800万円以上(完全歩合型あり)

特に製造業出身者が「技術営業」や「製品説明営業」に転職した場合、製品知識の深さを武器に高成績を残せるケースがあります。

営業職の年収は、扱う商材や成果の評価の仕組みによって大きく変わります。経験を積んだ人や成績のいい人の年収は高くなる一方、転職直後は工場時代と同じくらいか、少し下がったところから始まることもあります。

営業に移った最初の1年は、仕事を覚えながら目標を追うことになるので、収入が工場時代より下がることもあります。そこで続けられるかどうかの分かれ目は、扱う製品を自分が理解できるかどうかです。工場で作っていた製品に近いものを扱う会社なら、仕様や作り方を説明できること自体が、お客さんからの信頼につながります。

転職活動では、dodaでの求人検索が有効です。条件で年収・業種を絞り込むことで、自分に合った営業求人を効率的に探せます。

IT職に転職した場合の年収変化

「中長期で伸びる」のがIT転職の最大の魅力

IT職(エンジニア・プログラマー・インフラ等)への転職は、転職直後の年収変化は小さいですが、3年・5年単位で見ると伸びが大きい点が特徴です。

タイミング 年収
転職直後(未経験) 280〜380万円
転職2〜3年後 380〜520万円
転職5年後 500〜700万円
フリーランス転向後 600〜1,000万円以上

エンジニアは経験・スキルが積み上がるほど市場価値が高まり、転職・フリーランス転向などのキャリアパスが広がります。工場勤務では「勤続年数=給与上昇」の相関が弱いのに対し、IT職は「スキルレベル=給与」という相関が強いのが特徴です。

IT職で年収が伸びやすいのは、学び続けてできる仕事が増えた人です。最初の1〜2年は工場時代と同じくらいか、少し下がることもあります。その期間を乗り切るために、転職前に生活費の半年分ほどの貯金を作っておくと、気持ちに余裕を持って勉強を続けられます。工場勤務を続けた場合の年収と比べるときは、5年後・10年後で並べてみると、どちらが自分に合っているか判断しやすくなります。

年収を比べるときは「手取り」と「時給」で見る

自宅のテーブルで2枚の給与明細を並べて電卓で比べる男性

求人票の年収と今の年収をそのまま比べると、判断を間違えることがあります。工場の年収は、夜勤手当や残業代でふくらんでいることが多いからです。比べるときは、次の3つをそろえて見ます。

  • 手当を除いた基本給:転職先でなくなる手当(夜勤手当・交替手当など)を引いたら、今の年収はいくらになるか
  • 年間の休日数:たとえば今の会社の年間休日が105日、転職先が120日なら、同じ年収でも働く日数は15日違います
  • 1時間あたりの稼ぎ:年収を「1年間の労働時間(残業込み)」で割ると、本当に割のいい働き方がどちらか見えてきます

私も一度計算してみて、残業代を除くと思っていたより時給が低いことに気づきました。夜勤手当がなくなったときに手取りがどう変わるかは、夜勤手当がなくなると手取りはどう変わる?転職前に計算しておくべきことで詳しく計算しています。

転職後に後悔しないための年収交渉のコツ

面談スペースで転職エージェントの担当者と条件を相談する男性

転職時に「提示された年収をそのまま受け入れる」のは損をする可能性があります。年収交渉は多くの場合、内定提示後に行えます。

① 現在の年収を正確に伝える

現職の年収(残業代・各種手当・賞与込みの総支給額)を正確に伝えることが交渉の基本です。工場勤務では夜勤手当・残業代が加算された年収が実態のため、基本給だけで比較されないよう注意しましょう。

② 「市場相場」を根拠にする

「○○の仕事で○年の経験があり、市場相場は△△万円〜です」という形で、感情ではなくデータで交渉するのが効果的です。dodaやリクルートエージェントなどのエージェントが相場データを持っているので活用しましょう。

③ 転職エージェントに代行してもらう

転職エージェントを使っている場合、年収交渉をエージェント経由で行うことができます。直接交渉より通りやすい場合も多く、交渉が苦手な人にとっては大きなメリットです。

年収を下げずに転職するための戦略

「年収を維持・アップしたまま転職したい」という場合の戦略をまとめます。

戦略①:在職中に資格・スキルを取得してから転職する

転職前に市場価値を上げておくことで、交渉の余地が広がります。IT系であればプログラミングスクールの修了、営業系であれば宅建・ファイナンシャルプランナーなどの資格取得が有効です。

戦略②:同じ業界内での転職を検討する

製造業→製造業の別会社への転職であれば、スキル・経験がそのまま評価されるため年収の維持・向上がしやすいです。工場での技術者・品質管理経験があれば、製造業の管理職・専門職として転職できるケースがあります。

戦略③:複数社同時に選考を進める

内定が1社だけだと交渉力が弱まります。2〜3社から内定をもらって比較交渉することで、より有利な条件を引き出しやすくなります。

転職活動は、パソナキャリアのような手厚いカウンセリングが受けられるエージェントを活用することで、年収交渉まで一貫してサポートしてもらえます。

まとめ

工場勤務から転職した場合の年収変化をまとめると、事務職は「下がりやすいが生活の質が上がる」、営業職は「上振れも下振れも大きい」、IT職は「中長期で伸びやすい」という傾向があります。転職直後の年収だけで判断せず、3〜5年後にどうなっていたいかまで考えて選ぶと、後悔が少なくなります。まずは転職エージェントに相談し、自分の市場価値を把握することから始めましょう。dodaの調べでは2026年8月の転職求人倍率は2.86倍と売り手市場が続いており、条件交渉のしやすい環境です。


参考資料
※1 厚生労働省「令和5年賃金構造基本統計調査 結果の概況」https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/chingin/kouzou/z2023/
※2 厚生労働省「令和5年雇用動向調査結果の概況」転職入職者の賃金変動状況 https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/koyou/doukou/24-2/dl/gaikyou.pdf

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