「自分の年収って、工場勤務の平均と比べてどうなんだろう」——そう思ったことはありませんか?
同じ工場で何年も働いていると、外の世界の給与水準がわからなくなってきます。転職したいと思っても「年収が下がったらどうしよう」という不安が邪魔をして、なかなか動けない方も多いです。
製造業・工場勤務の平均年収をデータで整理し、転職した場合に年収がどう変わるかを3つのパターンに分けて書きます。自分の年収が妥当かどうか、転職で改善できるかどうかを確認してみてください。

工場勤務(製造業)の平均年収はいくら?
まず、製造業・工場勤務の年収を数字で見ておきます。
製造業全体の平均年収
厚生労働省「賃金構造基本統計調査(令和5年)」によると、製造業で働く人(フルタイムの労働者)の所定内給与の平均は月30万6,000円です※1。所定内給与は、残業代や深夜手当、交替手当などを除いた毎月の給与のことで、全産業平均の月31万8,300円をやや下回ります。実際の年収には、ここに残業代やボーナスが加わります。
雇用形態別に見ると、製造業の正社員は月32万4,700円、正社員以外(契約社員など)は月20万5,500円で、同じ製造業の中でも大きな差があります※1。
年代別の所定内給与
製造業の所定内給与を年代別に見ると、次のとおりです(男女計)※1。
- 20〜24歳:月20万7,800円
- 25〜29歳:月23万9,400円
- 30〜34歳:月26万9,400円
- 35〜39歳:月30万5,300円
- 40〜44歳:月32万5,500円
- 45〜49歳:月34万5,400円
- 50〜54歳:月36万6,200円
- 55〜59歳:月37万7,500円
年齢とともに上がっていきますが、30代後半までに比べると、40代以降は上がり方がゆるやかになります。30〜34歳から35〜39歳では月3万6,000円ほど上がるのに対し、35〜39歳から40〜44歳では月2万円ほどです。
企業規模による年収差に注意
同じ「工場勤務」でも、大手メーカーと中小工場では給料に差が出やすくなります。ボーナスの額や手当の種類も会社によって違うので、同じような仕事内容でも年収に差がつきます。
業種による差もあります。同じ製造業でも、扱う製品や会社のもうけの出方によって、給料の水準は変わります。
「夜勤手当込みの年収」には要注意
工場勤務の年収には、夜勤手当や残業手当が含まれている場合があります。転職先の求人票の年収と比較するとき、これを見落とすと「年収が上がった」と思ったのに手取りが減る、という事態になります。
比較するときは「基本給ベース」で計算します。夜勤手当を除いた実質の基本年収がいくらかを把握してから、転職先と比べましょう。
転職すると年収はどう変わる?3つのパターン
工場から転職した場合、年収の変化は大きく3つのパターンに分かれます。

パターン①:年収が上がるケース
転職で年収が上がりやすいのは、以下のような場合です。
- 同業他社の規模の大きい会社への転職
- 工場での経験を活かした技術職・品質管理職への転職
- 物流・施工管理など関連職種でのキャリアアップ転職
厚生労働省の雇用動向調査(令和5年)でも、転職した人のうち前の職場より賃金が増えた人は37.2%で、減った人(32.4%)を上回っています※2。工場での経験をそのまま活かせる職種や、規模の大きい同業他社に移る場合は、特に上がりやすくなります。
パターン②:一時的に年収が下がるケース
未経験の異業種に転職する場合、入社初年度は年収が下がることが多いです。これは、未経験者として採用されるため基本給が低く設定されるためです。
ただし、3〜5年後には逆転するケースも多くあります。特にIT・営業・施工管理などは、経験を積むほど年収が上昇しやすい職種です。「初年度だけの我慢」と割り切れる場合は、長期視点で考えた方がいいです。
パターン③:年収はほぼ変わらないが生活が改善するケース
年収の大きな変化よりも「働き方の改善」を目的とした転職では、年収変化が小さいことがほとんどです。夜勤をなくす・残業を減らす・勤務地を近くする——こうした目的の転職は、年収は変わらなくても「生活の質(QOL)」が大きく改善します。
月8万円の夜勤手当がなくなっても、体力の消耗がなくなることで副業や資格取得に時間を使えるようになり、結果的に長期的な収入増につながる人もいます。
年収を上げながら転職するための3つの戦略
「できれば年収を下げずに転職したい」——その希望を実現するための具体的な方法を書きます。
資格取得で市場価値を上げる
工場勤務に関連する資格を持つと、求人の選択肢と年収交渉力が上がります。転職前に取得しておくと有利な資格の例をあげます。
- QC検定2〜3級:品質管理の知識を証明。製造業・検査職の転職で評価される
- 危険物取扱者(乙4):化学・物流系の職場で重宝される
- フォークリフト運転技能者:物流倉庫・配送センターへの転職に直結
- 電気工事士(2種):設備管理・電気系職種への転職で大幅な年収アップが狙える
転職エージェントに年収交渉を代行してもらう
転職エージェントを使う大きなメリットの一つが「年収交渉の代行」です。求職者本人が「もっと年収を上げてほしい」と直接言うのは難しいですが、エージェントが間に入ることで、企業側との交渉がスムーズに進みます。自分では言いにくいお金の話を任せられるのは、大きな助けになります。
複数の内定を取って比較・交渉する
1社だけに絞って転職活動をすると、年収交渉の余地がなくなります。複数の企業に並行して応募し、複数の内定を持つことで「他社からもオファーをもらっている」という交渉力が生まれます。これだけで年収が変わるケースは珍しくありません。
年収交渉サポートが得意な転職サービス

年収を意識した転職活動には、エージェントの力を借りるのがベターです。製造業・工場からの転職に強い2つのサービスを書きます。
doda
求人数が多く、年収診断ツールで自分の市場価値を確認できます。担当者が年収交渉を代行してくれるサポートも充実しており、「今の年収が妥当かどうか確認したい」段階から使えます。
リクルートエージェント
非公開求人の数が業界最大で、年収交渉の実績も豊富です。製造業から他職種への転職事例を多く持つため、年収アップを狙った転職相談に向いています。
「年収450万」でも安心できない?手当依存型の年収構造に注意
工場勤務で年収450万円と聞くと「十分では?」と思うかもしれません。しかし内訳を見ると、基本給240万円・夜勤手当や残業手当で残りを補っているケースが多くあります。
手当が消える状況(昼勤への転職・子育てによる夜勤免除・会社の制度変更)が起きると、実質的な年収は一気に下がります。「年収」の数字だけで現状に満足していると、転職時に想定外の収入減に直面することになります。
今すぐ自分の給与明細を確認して、「基本給だけの年収」と「手当込みの年収」を分けて把握しておきましょう。その差額が大きいほど、転職後の収入が下がるおそれが大きくなります。基本給ベースで年収アップを狙える転職先を探すことが、長期的な安定につながります。
自分の年収が「平均以下」なら転職を考える価値がある
この記事で紹介した平均年収のデータと自分の年収を比べてみてください。同じ年代・同じ経験年数で平均を下回っているなら、転職によって改善できる可能性は十分あります。
特に、夜勤手当込みで平均に見えている場合は注意が必要です。基本給ベースで比べたとき、かなり低い水準にいる可能性があります。
まずは転職サイトで同等のスキルを持つ人がどんな求人に応募しているか、どんな年収水準の仕事があるかを眺めてみてください。自分の市場価値を知ることが、転職を考える最初の一歩になります。
まとめ
製造業の所定内給与の平均は月30万6,000円ですが、企業規模・業種・雇用形態により大きな差があります。夜勤手当込みの年収には注意が必要で、基本給ベースで比べます。転職後の年収変化は「アップ・一時ダウン・横ばいで生活改善」の3パターン。資格取得・エージェント活用・複数内定の取得で年収を上げながらの転職が実現しやすくなります。2026年は製造業の人手不足で経験者の売り手市場が続き、条件交渉もしやすい環境です。大手の賃上げが進み、会社による給料の差が広がりやすい今は、年収アップを狙うなら動きやすい時期です。
参考資料
- ※1 厚生労働省「令和5年賃金構造基本統計調査 結果の概況」(2024年)
- ※2 厚生労働省「令和5年雇用動向調査結果の概況」転職入職者の賃金変動状況 https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/koyou/doukou/24-2/dl/gaikyou.pdf



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