設備保全はきつい?夜勤・オンコールの実態と後悔しない求人の選び方

設備保全のきつい面とやりがいを比べたイラスト 転職

「設備保全に興味はあるけど、きついって聞くし、夜勤や呼び出しが多いんじゃないか」——そう思って一歩を踏み出せない工場勤務者は多いと思います。

私は工場で10年以上働いてきて、設備保全の同僚を間近で見てきました。正直に書くと、設備保全にはきつい面が確かにあります。夜中に呼び出されて出ていく先輩を、何度も見送りました。

ただ、そのきつさは「どの求人を選ぶか」で大きく変わります。同じ設備保全でも、工場によって働き方はまったく違うからです。設備保全のきつさの正体と、後悔しない求人の見分け方を、現場の目線で書きます。

設備保全が「きつい」と言われる4つの理由

夜の工場で懐中電灯を手に機械の不具合を調べる保全担当者

1. 夜勤・交代勤務がある

24時間止まらない工場では、保全も交代制になります。ラインが動いている限り、設備が止まるリスクは夜中も同じだからです。日勤だけの保全求人もありますが、装置産業(化学・食品・製紙・半導体など)では交代制が前提になりやすいのが実情です。

2. オンコール(呼び出し)がある

ここが設備保全でいちばん語られるきつさです。休みの日でも、設備が止まれば電話が鳴る。当番制になっている職場も多く、当番週は落ち着かないという声があります。実際に「呼び出しと夜間対応があるのは事前に覚悟が必要だった。求人票で対応体制を確認しておくべきだった」という経験者の声もあります。

3. 「ラインを止められない」プレッシャー

設備が止まっている間、工場全体の生産も止まります。自分の手が止まると後ろが全部詰まる、という緊張感は、ライン作業とは種類の違うストレスです。原因がすぐ特定できないときの焦りは、経験者がそろって口にします。

4. 覚える範囲が広い

機械・電気・制御・油圧・空圧と、扱う範囲が横断的です。入って数年は勉強が続きます。ここを「成長できる」と取るか「終わりがない」と取るかで、向き不向きが分かれます。

それでも「楽しい」と言う人が多い理由

きつい面を先に書きましたが、設備保全を続けている人には共通して語ることがあります。

ひとつは達成感です。「ライン作業と違って、止まった設備を自分の手で動かせたときの達成感が大きい。楽しいと思える瞬間がある」という声があります。自分が直したから工場がまた動き出す、という手応えは、決められた作業を繰り返す仕事では得にくいものです。

もうひとつは、毎回課題が違うことです。同じ設備でも故障の出方は毎回違い、原因を切り分けていく過程は謎解きに近い。単純作業の繰り返しがつらくて転職を考えた人ほど、この違いは大きく効きます。

そして、スキルが積み上がる実感があります。設備保全は経験年数と資格が収入に反映されやすい職種で、年収レンジは約310万〜800万円と幅があります(※1)。20代前半の平均が約351万円、50代後半で約645万円というデータもあり(※1)、続けた分だけ上がっていく構造になっています。「何年やっても給料が変わらない」という悩みからは抜けやすい職種です。

工場経験者にとって、きつさは意外と小さい

ここが伝えたい部分です。設備保全の「きつい」は、多くが未経験者・異業種出身者を基準に語られています。工場でライン作業をしてきた人にとっては、すでに乗り越えているものが混じっています。

  • 夜勤・交代勤務:すでに経験している人が大半。生活リズムの作り方を知っている
  • 工場特有の環境:暑さ、音、油のにおい、安全靴。今さら驚くものがない
  • 安全ルール:電源を落としてから作業する、声を掛け合う。体に入っている
  • 異常への気づき:いつもと違う音や振動に反応できるのは、毎日設備のそばにいた人の強み

残るのは「覚える範囲の広さ」と「オンコール」の2つです。前者は教育体制のある会社を選べば時間が解決します。後者は求人選びで大きく変えられます。

未経験から設備保全を目指す全体の流れは、未経験から設備保全に転職するには?のほうに書いています。

夜勤・呼び出しはお金にどう反映されるのか

きつさを判断するとき、収入への反映を知っておくと冷静に比べられます。

労働基準法第37条4項により、午後10時から午前5時までに働いた場合、通常の賃金の25%以上の割増賃金を支払うことが会社に義務づけられています(※2)。この深夜の時間帯は会社のシフトの区切りに関係なく一律です。

さらに、深夜の時間帯に時間外労働が重なった場合は、割増が加算されて50%以上になります(※2)。呼び出しで夜中に出て対応した時間は、ここに当たるケースがあります。

つまり、呼び出しが多い職場は、その分だけ手当で返ってくる設計になっているのが本来の姿です。逆に言えば、呼び出しがあるのに手当の説明があいまいな求人は要注意ということでもあります。ここは面接で確認していい部分です。

後悔しない求人の選び方・5つのチェックポイント

面談室で転職エージェントの担当者と話す男性

同じ「設備保全」でも中身は別物です。応募前に次の5つを確認できるかどうかで、入社後の満足度が変わります。

  1. 夜勤・交代制の有無とシフトの組み方
    日勤のみか、2交代か3交代か。連続勤務の上限、シフトの周期。日勤専従の保全求人も存在します。
  2. オンコールの頻度・当番制か・手当はいくらか
    月に何回当番が回るか、実際に呼ばれる頻度はどのくらいか、待機手当と出動手当がいくらか。ここが一番の分かれ目です。
  3. 保全の担当範囲と教育体制
    機械だけか、電気・制御まで見るか。入社後の研修期間、先輩が付くOJTの有無。範囲が広い会社ほど教育体制の確認が効きます。
  4. 資格取得支援制度の有無
    受験費用・講習費を会社が負担するか。合格時の報奨金や資格手当があるか。ここがあると自己負担なしでスキルを積めます。
  5. 予防保全が中心か、故障対応が中心か
    予防保全中心の工場は計画的に動けるため、突発対応が少なめです。老朽設備が多く事後対応ばかりの工場は、呼び出しも増えやすい傾向があります。

問題は、この5つのうち求人票に書いてあるのはせいぜい1と4だけ、という点です。オンコールの実際の頻度や、故障対応の多さは、求人票からは読み取れません。

ここを埋めるには、転職エージェントの担当者に確認してもらうのが確実です。dodaのような大手であれば、企業に直接聞いて回答をもらえます。「呼び出しは月何回くらいですか」「手当はどうなっていますか」と具体的に聞くほど、実態が見えます。

面接で聞いておきたい質問

面接の逆質問は、条件を確認できる数少ない機会です。聞きにくいと感じるかもしれませんが、保全職では当然の確認事項として受け止められます。私が聞いておいたほうがいいと思う質問を挙げます。

  • 「保全の当番は月に何回くらい回ってきますか」
  • 「実際に呼び出しがかかるのは、月に何回くらいでしょうか」
  • 「待機のときの手当と、出動したときの手当はどうなっていますか」
  • 「入社してから半年くらいは、どなたかに付いて教わる形になりますか」
  • 「今いちばん手がかかっている設備は、どのくらいの年式のものですか」

最後の質問は遠回しですが効きます。老朽設備が多い工場ほど突発の故障対応が増えるためです。答えづらそうにする会社は、そこに事情があると考えたほうがいいと思います。

向いている人・慎重に考えたい人

私が見てきた範囲での傾向を書きます。

向いている人慎重に考えたい人
機械をいじるのが好き予定を完全に固定したい
原因を考えるのが苦にならない決まった作業を自分のペースで進めたい
単純作業の繰り返しがつらい勉強が続くことに抵抗がある
交代勤務に慣れている体力・生活リズムに不安がある
長く使えるスキルが欲しいすぐに収入を大きく上げたい

とくに「休みの日に電話が鳴る可能性がある」ことを受け入れられるかどうかは、事前に自分に問いかけておいたほうがいい部分です。ここを軽く見て入ると、他がよくても続きません。

まとめ

設備保全のきつさは、夜勤・オンコール・ラインを止められないプレッシャー・覚える範囲の広さの4つです。これは事実として受け止めたほうがいいと思います。

ただ、工場でライン作業をしてきた人にとっては、このうち夜勤・工場環境・安全意識はすでに通過済みです。残るオンコールと学習量は、求人選びと教育体制でかなり変わります。「設備保全はきつい」で終わらせず、「どの設備保全なら続けられるか」に置き換えて探すほうが現実的です。

そのためには、求人票に書かれていない部分——呼び出しの頻度、手当、故障対応の多さ——を確認できる状態で比べるのが、失敗しないための近道です。

dodaとリクルートエージェントはどちらも無料で、設備保全の求人を扱っています。2社に登録して条件を比べ、気になる求人の内部事情を担当者に確認してもらうところから始めてみてください。登録した時点で転職が決まるわけではないので、まず情報を集める目的で使えば十分です。

参考資料

※1 設備保全の年収レンジ・年代別平均年収(公的統計をもとにした職種年収データ)
※2 労働基準法第37条4項にもとづく深夜割増賃金(午後10時〜午前5時は25%以上、時間外と重なる場合は50%以上)

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